ウールに関するさまざまな質問にお答えしています。 ご質問は
なんで羊に生えている毛は縮まないの?
一方、私たちが手にするセーターやコートなどのウール製品は、この羊の毛を糸に紡ぎ、織ったり、編んだりしたものです。糸にする「紡績」工程ではその毛を引き揃えて伸ばしながら糸に紡いでいくわけですが、その際「スケール」はランダムな方向に引き揃えられ、うろこが絡み合い、強制的に引き伸ばされてセットされます。(ウールはこの「スケール」と「クリンプ」のおかげで、他繊維に比べ、絡みやすく丈夫な糸を作り出すことができます。)さらにこの糸を縦横の方向に織り上げたり、ループ状に編み上げたりしたものがウール製品ですので、「スケール」の方向はますます複雑に絡んでいることがおわかりいただけると思います。
さて、「ウールの洋服を洗濯すると縮むのに、なんで羊に生えている毛は縮まないのですか。」という質問についてですが、ウールは水分を与えられただけでは大きく縮むことはありません。ウールは「スケール」の滑らかな方向には伸び、ひっかかる方向には戻らない性質がありますので、水分を与え、さらに揉んだり洗ったりのアクションをくわえると、ランダムな方向に絡んだウール製品の「スケール」がさらに絡み合って縮んでいくと考えられています。羊の毛が縮まないのは、雨に濡れても外的なアクションがくわえらえるわけではありませんし、「スケール」が一方方向に生えているからなのです。
また、もうひとつの理由として羊の毛の「油脂」があげられます。ウールはここでもご紹介しているとおり、はっ水性が高く、水をはじき、汚れにくい繊維という特性をもっています。その上、羊に生えている毛はこの「油脂」に覆われていますので、雨をはじき、その影響を受けにくいということです。それに対し、ウール製品に使われているウールは「紡績」段階で、この「油脂」をていねいに取り去り、糸に紡いでいきます。
ウール製品が縮むというと悪い印象があるかもしれませんが、たとえば目のつんだウールのオーバーコートはわざとウールを縮めて防寒性を高めたものですし、ピアノの弦を叩くハンマークロスやビリヤードの台に使われているグリーンのクロスにもウールをフェルト(縮めた)したものが使われています。また、逆に「縮まないウール」の開発も進み、ウールのやさしい風合いを生かしながら、家庭の洗濯機で気軽に洗えるウール製品もたくさん出回っています。