羊毛原料のブレンドと並んで重要なのが、糸の太さと撚り、撚合わせる数の決定です。これらは密接に絡んでいるので、羊毛原料のブレンドを決めるときと同様に、実際に糸にしてふくらみの程度や柔らかさ等を人間の感覚によって評価するわけです。
スーツでは、定番糸とよばれる規格化された糸を使うことが多いのですが、手編毛糸ではそうはいきません。やはり、原料ブレンドと同様にアナログなのです。理詰で決められないところに羊毛の奥深さと計り知れない喜びを感じます。
糸が太くなるほど編物は厚いものになりますが、糸にふくらみがないと重くなります。撚数は増やすほど「はり」「こし」は大きくなりますが(毛玉も出来にくくなる)、手編毛糸にとってもっとも重要な「ふくらみ」が無くなっていきます。ふくらみを保ちつつ、はりこしがあり、柔らかさを兼ね備えたベストポイントを見つけ出すために、何度も試作を繰り返し、そのたびごとに人間が握って評価するわけです。
例えば、代表的な中細の4/16と2/8は同じ長さで同じ重さになりますが、見た目、ふくらみはまったく違う糸になります。このように羊毛は奥が深く、単に公式で進められないところが、自分の生涯を賭けた相手として不足なしと感じる部分です。
手編毛糸には「ふくらみ」が大切なので、織糸よりも、撚りが甘く(弱く)ふんわりとしています。とにかく大切なのは、原料の持ち味を最大限生かすことです。
|
|
糸を作る手順 糸はまず、羊毛トップと呼ばれるロープ状の羊毛が平行に並んだものから作る。

▲羊毛トップ 羊毛トップを均一に細く引っ張り、下撚をかけて単糸を作り、それを複数寄り合わせて1本の糸にする。2本の撚り合せが双糸(そうし)で、最も一般的。3本なら三子撚(みつこより)、4本なら四子撚(よつこより)となる。単糸を撚る方向(Z撚)に、双糸では撚る方向(S撚)を逆にして、ねじれの少ない糸を作る。ウールは撚本数/糸番手と表記する。手編毛糸で一般的な中細の場合、4/16つまり16番(1/16)の単糸を4本寄り合せる。

▲糸の撚り方
番手
番手とは糸の太さを表す単位で、その糸が何mで1gの重さになるのかという意味。例えば16番の場合、その糸が16mの長さで1gになる。16番の四子(4/16)では16mで1gの糸が4本撚り合わさっているので、4mで1gということになる。
糸の太さと撚り数、
撚り本数の関係 糸の太さ(糸番手が大きい):
太い…厚手 細い…薄手
撚り数: 多い……ピリングしにくい、ふくらみがない
少ない…ピリングしやすい、ふくらみがある
撚り本数: 多い……太い、ふくらみがある
少ない…細番手、ふくらみがない |