こうして糸の規格が決まると、現行の売れ筋情報やカラートレンドなどをもとに、色を決めていきます。手編毛糸は、ここでも普通の羊毛糸とは異なる特殊な染色方法を用います。
普通、羊毛はコーンと呼ばれる管に巻いてあります。それにより、取り扱いが容易になるためです。普通ウールは、糸を染める場合はこの管に巻かれた状態のまま染めます(チーズ染め)。しかしこのチーズ染めでは糸がかっちりとコーンに巻かれているため、ふくらみが出にくいという欠点があります。
これはふくらみが命といえる手編毛糸には決定的な欠点となります。そこで、手編毛糸は、綛(かせ)染めという独特の染色方法によって染められます。綛とは糸を大きくリング状に巻いたもので、チーズ染めの様に芯がないため、糸が引っ張られず、糸にふくらみを持たせたまま染色することが可能になります。
この綛染めにも欠点があります。糸が絡まりやすいため取り扱いに手間が掛かるのです。また染色するためにわざわざ綛に巻き直さなければなりません。しかしいくら手間やコストが掛かっても、手編毛糸ではこの染色方法こだわるのです。それほど糸にふくらみを持たせるということは、手編毛糸にとって重要なことなのです。

▲綛染め
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