手編毛糸はこだわりのたまもの
-染色の秘密-


  こうして糸の規格が決まると、現行の売れ筋情報やカラートレンドなどをもとに、色を決めていきます。手編毛糸は、ここでも普通の羊毛糸とは異なる特殊な染色方法を用います。

 普通、羊毛はコーンと呼ばれる管に巻いてあります。それにより、取り扱いが容易になるためです。普通ウールは、糸を染める場合はこの管に巻かれた状態のまま染めます(チーズ染め)。しかしこのチーズ染めでは糸がかっちりとコーンに巻かれているため、ふくらみが出にくいという欠点があります。

 これはふくらみが命といえる手編毛糸には決定的な欠点となります。そこで、手編毛糸は、綛(かせ)染めという独特の染色方法によって染められます。綛とは糸を大きくリング状に巻いたもので、チーズ染めの様に芯がないため、糸が引っ張られず、糸にふくらみを持たせたまま染色することが可能になります。

 この綛染めにも欠点があります。糸が絡まりやすいため取り扱いに手間が掛かるのです。また染色するためにわざわざ綛に巻き直さなければなりません。しかしいくら手間やコストが掛かっても、手編毛糸ではこの染色方法こだわるのです。それほど糸にふくらみを持たせるということは、手編毛糸にとって重要なことなのです。

綛染めの写真
▲綛染め
その他の染色方法
原着
原料に色が付いている。
有色ウール、合繊。
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染め
羊毛独特の方法。羊毛以外では出来ない。
スライバーと呼ばれるロープ状に繊維を平行に引きそろえた状態での染色。
チーズ
染め
糸をコーンと呼ばれる管に巻いた状態で染める。
主に織糸に用いられる。
綛染め 糸にして染めるが、コーンにまかず、力を与えないで染める方法。よい風合いがでる。
反染め 織物にしてから染める。
多色在庫のリスクが小さいので、婦人物など、トレンドの変化が激しい商品に。

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▲コーン
 
仕上げ(スチーミング)

 染色が終わった糸は、スチーミングと呼ばれる工程にて蒸気を通して仕上げをされます。蒸気を通すことによって、毛糸はふくらみを増し、ふんわりとなります。紡績された糸に命を吹き込む作業がスチーミングです。毛糸は生きている。本当にそう思える瞬間です。

最後にふくらみを消さないように慎重に玉に巻き、出荷します。

   
 
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