毛糸のできるまで
羊から刈り取られたウールは、いくつもの製造工程を経てようやく衣料やインテリア製品になります。
その「ウールの長い旅」を説明するには1冊の本を必要としますが、ここでは簡単に毛糸(梳毛糸)のできるまでを紹介してみましょう。
一本の糸に仕上げるにも、これだけの手間がかかっているのです。


 
羊毛の選別(選毛)
羊毛は他の繊維と異なり、羊が育つ環境や種類の違いで太さや、長さ、不純物の混入など千差万別。
袋に詰められた羊毛(脂付き羊毛)をそれぞれに、熟練した人間の目で選別しなければ製造工程に投入できないのです。
人手に頼る地味ですが、極めて重要な作業です。
今ではほとんどの紡績工場が海外でこの作業をおこなっています。
 
 
羊毛を洗う(洗毛=スカーリング)
羊の種類、太さ、長さなどで区分されたウールはグループごとに石鹸とソーダで洗われます。
ウールに含まれる脂と土砂を取り除く工程です。
このあと適度の水分(約18%)を残して乾燥します。
ここで出来るのが「洗い上げ羊毛」。
また回収した脂はグリースやラノリンに精製されます。
 
 
羊毛をほぐす(カーディング)
大小のふっくらした固まりになっている洗い上げ羊毛にもつれないよう油をかけて、表面に針を植えた大小数多くのローラーを組み合わせた機械(カード機)に通し、繊維1本1本にほぐし、薄い毛の膜を作り、これを束ねてロープ状の篠(しの)にします。
この状態のウールを「スライバー」と呼びます。
 
   
4. 羊毛を揃える(コーミング)
スライバーを6〜10本組み合わせて(ダブリング)針の植えられた櫛でくしけずり、引き伸ばし(ドラフト)ながら細くしていきます。
ダブリングとドラフトの繰り返しで徐々に繊維を平行に並べ、均一な太さのスライバーにしていきます。
この機械は「インター」機といいます。
次に「コーマー」機という細かくたくさんの櫛を持った機械にかけながら、短い繊維や植物性の不純物などを取り除き、繊維がきれいに揃った美しいスライバーを作ります。
ここでもダブリングとドラフトを繰り返し、1メートル当たり25グラム程度の太さのスライバーにします。
これを巻き上げたものを「ウールトップ」といいます。
ここまでが糸にする中間工程。
この状態で染色するのが「トップ染め」です。
 
   
糸紡ぎの準備(前紡)
トップのスライバーは赤ちゃんの腕ほどの太さ。ダブリングとドラフトを繰り返して箸の太さほどに引き伸ばすのが「前紡(ぜんぼう)」工程です。
 
 
糸を紡ぐ(精紡)
ようやく糸を紡ぐ「精紡機」にかけられます。
箸の太さほどのスライバーを糸の太さにまで引き伸ばすとともに撚りをかけて、糸を紡いでいきます。
精紡機の芯には「スピンドル」と呼ばれる1分間に1万回転以上もまわる部品があり、糸を巻き取っていきます。
巻き取った糸は「単糸」とよばれます。
 
   
2本合わせて撚りをかける(合糸、撚糸)
「単糸」にかけられた撚りをセットする「糸蒸し」加工を行ない、さらに2本組み合わせて、もう一度逆の方向に撚りをかけて「双糸」にします。
これで梳毛糸作りの作業は完了し、織物工程に向けられます。
糸の段階で染色するのが「糸染め」。
最近ではサイロスパンやソロスパンといった精紡段階で高性能な単糸を作る技術が開発され、単糸使いも増えていますが、一般的な織物には双糸使いが依然として多いようです。
 
 

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