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ウールの加工方法

精練と炭化


精練または洗浄は、グリースと汚れを除去するために羊毛に施される最初の機械的なプロセスです。炭化は紡毛システム特有の工程で、精練後に残った不純物を分解します。

精練

刈り取り後のウールはグリージーウールと呼ばれ、ラノリンをベースとするグリースに加え、油脂、汚れ、ほこりや砂等の不純物が含まれます。

羊が草を食んだ地形や環境といった要素も羊毛に含まれる不純物の量に影響を与える可能性があります。グリージーウールに含まれる不純物の総量は、羊毛の総重量の約35%から40%が一般的です。

処理前にグリージーウールに含まれる不純物を除去する必要があり、このプロセスは原毛の精錬と呼ばれます。

精錬過程において、グリージーウールは機械に投入され、その中で洗浄用アルコールの入った通常6個から8個のボウルを次々に移動させられます。最初の洗浄ボウル2個から3個には洗剤と時にはアルカリを含む温水*でできた洗浄溶液が入っており、これらの段階でウールグリース等の水溶性または乳化性をもつ物質の大半は除去されます。残りのボウルには真水が入っており、ウールを徹底的にすすぎます。

その後、洗い上げルースウールは連続乾燥機に投入されます。さらに多数の機械でウールを機械的に叩き、精錬中に洗浄溶液で完全に除去されなかった砂やほこり等の非水溶性物質を除去します。

 次に、洗い上げルースウールは空気圧で貯蔵庫と呼ばれる密閉された部屋に送られ、ブレンド後、水分量が均衡に達するまで保管されます。完了後、製造の次段階であるトップ作りへ移ることができるようになります。

品質面でグリージーウールの精錬を成功させるための鍵は、様々な種類の不純物をほぼ完全に除去し、繊維の絡みやフェルト化を最小限に抑えることにあります。繊維の絡みやフェルト化が発生すると、その後の製造段階での繊維の破れの大量発生につながり、処理効率の悪化や最終製品や衣類それぞれの着用時のパフォーマンス低下を招きます。

*グリージーウールの精錬システムの一部は有機溶剤の使用に基づくものですが、上述のような水を利用する水溶液に基づいたシステムが今日のウール精錬の方法として最も一般的です。

炭化

炭化とは、ウールグリースを除去するための精錬と種子、毛皮、草等の植物質を除去する化学プロセスを組み合わせた連続工程です。炭化はグリージーウールに通常、2%から3%を超える多量の植物質 (%VM)が含まれる場合に行われます。

ウールに含まれる植物質の大半はセルロース性であり、まず高濃度(重量比6%から7%)の硫酸 (H2SO4)溶液に浸し、95 oCから120 oCに設定した乾燥機で焼成することで炭に分解されます。植物質が炭に分解された後、ウールは一連の重金属の溝付ローラーにかけられ、炭化した毛皮をほこりへと粉砕します。

その後ウールは機械的作用でほこりをウールから分別する埃取りユニット (ロータリー・シェーカー)にかけられます。

この段階でのウールは硫酸に浸す工程を経て酸性の状態です。炭酸ナトリウム(Na2Co4)を含むアルカリ溶液を通すことでウールを中性に(pH 7)します。最後に、乾燥前に色を改善するためにウールを過酸化水素(H2O2)溶液に浸します。

仕上げ工程で生地形状のものに炭化を施すことも可能ですが、洗い上げルースウールの炭化が最も一般的に行われています。