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ウールの加工方法

伝統を尊び、革新と挑戦の歩み


さかのぼること1896年、日本の繊維産業の歴史を語るうえで欠かすことのできない日本毛織株式会社(ニッケ)が誕生した。3年後の1899年に加古川工場の操業が開始してから、国内各所でニッケの工場が動き出した。現在は、岐阜工場・印南工場・一宮事業所の3つの国内生産拠点で、紡績から、製織、染色、整理までの全工程を行う生産設備を持ち、誇り高き上質なものづくりを脈々と続けてきた。120年あまり、ニッケは日本の毛織物の進化と共に歩んできたと言っても過言ではない。現在、国内自社工場のみで6,000トン/年の糸を作り、200,000反/年の織物を生産していると言うので、驚きの生産量だ。尾州産地のみならず、全国のテキスタイルメーカーの工場でニッケマークの入った段ボールを頻繁に見かけるが、その糸の品質と安定性は言わずもがな最高級である。

創立100周年を迎えたタイミングの1996年には、一宮市に「ニッケ創作工房」が開設された。これまでのニッケのあゆみの集大成となるような場所である。入り口に立つと、ノスタルジックなニッケの版画たちがお出迎えしてくれて、ニッケの歴史を感じとれるアーケードとなっている。この施設では1858年〜1981年の間、ヨーロッパで作られた225,145点もの織物見本が収蔵された、近代ヨーロッパ織物資料館「ニッケアーカイブス」がある。ここに国内外から、テキスタイルの企画担当者やデザイナーが足を運んではインスピレーションを受けて、新しいテキスタイル開発に挑んでいると言う。「いい生地には、良い生地設計がある。」という研究理念のもと、過去の良きアーカイブを研究するところから新しいテキスタイル企画が始まるのだ。また、ヨーロッパ織物資料館の向かいの部屋は大正時代から現在に到るまで、ニッケが作ってきた約50,000点もの織物見本が収蔵されていて、織物見本には織物の設計情報が細かく添えられている。ニッケはこれらの見本から、復刻版を新たに商品化していると言う。伝統を尊び、革新への挑戦を重ねてきたニッケの軌跡を美しく表している2つの資料館である。

ニッケは今日に至るまでに、さまざまな新素材を開発してきている。メリノウールを極めた最高品質の素材「MAF®」、高水準の防シワ性能素材「TraveLook®EX」、さまざまな機能性を追求した「PLASMAFINE®」シリーズ、発熱機能が施されたウール「WELWARM®」など、ウールを追い求めたニッケだからこそ生まれる新ウール素材のラインナップである。

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ニッケの最新開発素材、新・交撚糸「ニッケNagaragawa®」はウールとポリエステルフィラメントを組み合わせたハイブリッドヤーンで、30年以上培ってきた紡績技術を基に開発に成功したという。ウール繊維の内側にポリエステルフィラメントが螺旋状に包み込まれて1本の糸になることで、ウールが本来持っている上質感や肌触りを活かした、新しいウールの機能糸が誕生した。この糸を使った「MIRAIZ®」はお客様の声から生まれた高級な学生服素材で、軽い着心地、高いストレッチ性、なめらかな肌触り、きれいが長持ち、家庭洗濯OKといった5つの特長を実現した秀逸素材である。学生服の素材を作り続けてきたニッケのアイデンティティが、学生服素材をさらに一歩前進させたのだ。また、学生服向けのチェック生地の生産で培ってきた、柄のピッチ合わせや色柄の再現性などの高いノウハウは、海外のファッションブランドからも評価され、新たな引き合いにも繋がっていると言う。

「”声”を明日(あす)につなげる」というニッケのスローガンは、お客様の声を大切にしながら未来に向かってチャレンジしていくという思いの詰まったコピーである。伝統を大切にしながらも、未来への挑戦が、ニッケの第2世紀を築いていくだろう。

日本毛織のオフィシャルサイトはこちらから。